農福連携に関わる園芸療法士・作業療法士の就労継続支援B型事業所でのチャレンジ日記⑦「三粒に種」

畑に出ると、不思議と心が静かになります。

黒いマルチにあいた丸い穴に、そっと指でくぼみをつくり、大根の種を三粒ずつ落としていく。単純な作業の繰り返しの中に、どこか大切なものが宿っているように感じられます。

「三粒に種」

ひとつは鳥のために。


ひとつは虫のために。

そして残るひとつを、人がいただくために。

すべてを自分のものにしようとせず、自然と分け合うという昔からの知恵。少しだけ余白を残しておくことで、巡りが続いていくという考え方です。

この日、普段はITやeスポーツを担当しているメロクリも畑に入り、一緒に種を蒔きました。土に触れ、風を感じながら、黙々と手を動かしていきます。

やがて、ぽつりとこぼれた言葉。


「言語化しなくてもいいくらいですね」

きっと、三粒に込められた意味も同じなのかもしれません。理屈で説明するよりも、手を動かし、土に向き合う中で、自然と感じ取っていくもの。

鳥や虫と分け合いながら、それでもなお芽吹いてくる命。そのひとつひとつを見守る時間の中に、私たちが忘れかけている感覚があるように思います。

多くを求めすぎず、少しだけ譲ること。
そうして続いていく営みの中に、畑の豊かさがあるのだと感じました。

今日もまた、三粒の種が土の中で、静かに眠っています。

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